ふたたびまどろみのなかで

原口昇平のブログ

【仮訳】ヒバ・ダーウードの証言(『ガザ・モノローグ2023』から)

正直、具合がよくないんだけど、あったことをみんな話すよ。 はじめは自分の家にいた。夫とふたりで、一緒にれんがをひとつずつ積み上げて築いた家。そこに私たちがいるのに、戦車は止まらず近づいてくる。暮らしてたのは、アルシファ病院の裏手。戦車がどん…

【仮訳】ICJ南ア対イ訴訟 公聴会初日 南ア原告口頭弁論(2)第1セクション「ジェノサイドの行為」

原文:https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/192/192-20240111-ora-01-00-bi.pdf (pp.21-31)※この暫定訳は法務分野を専門としない翻訳者が自らの学習のために作成したものであり、正確性は一切保障しません。また、原文の注は全て省…

【仮訳】ICJ南ア対イ訴訟 公聴会初日 南ア原告口頭弁論(1)開始部分~冒頭陳述

原文:https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/192/192-20240111-ora-01-00-bi.pdf (pp.17-20)※この暫定訳は法務分野を専門としない翻訳者が自らの学習のために作成したものであり、正確性は一切保障しません。また、原文の注は全て省…

【仮訳】アリー・アブー・ヤースィーン「サラームの誕生日」(『ガザ・モノローグ2023』から)

サラームの誕生日 サラーム(平和)、またはサッルーム(五体満足)。わが孫娘の名がサラーム、その愛称がサッルームだ。二歳。色白で、瞳は外国の子どものようにみどり色。泣くことは本当に、本当にめったにない。誰をも愛し、誰からも愛されている。この子…

【仮訳】アリー・アブー・ヤースィーン「わが書斎へ」(『ガザ・モノローグ2023』から)

わが書斎へ 許してほしい。何ヶ月にもおよぶ戦争のせいで、おまえから離れざるをえない。戦争とそれがもたらす荒廃の意味を知るには、おまえはこの上なくうってつけだ。おまえの中にはレフ・トルストイの代表作『戦争と平和』が住んでいるのだから。そうだろ…

言語キャピタリズムから言語コミュニズムへ――言語はコミュニテイの共有財産であり、大規模言語モデル(LLM)の私有化はコミュニティに対する越権である

産業翻訳に従事する言語労働者たち。私たちほど、何十年もにわたり互いの顔も見えないほど分断され孤立している労働者のタイプが、他にあるだろうか? 私たちの存在はふだん表に見えない。ただ、クライアントや翻訳会社が所有する「翻訳メモリ」(原文と訳文…

懸念――機械翻訳エンジンの開発における搾取的なデータ利用の可能性

AI翻訳ツールを提供する独DeepLは7月3日、日本法人DeepLJapanを設立したと発表しました。 私は、機械翻訳エンジンの開発において搾取的なデータ利用がなされている可能性を、深刻に懸念しています。 例えば、DeepLの機械学習に使用されたLingueeをみてみまし…

差別の二方向性

かつて初就職先でよく一緒に昼飯を食べに行ったドイツ白人男性同僚に、あるときこう尋ねた。「もしも自分もやってたら直したいから教えてほしいんだけど、日本でどんな差別を経験してる?」 「そうね。プラスの差別、かな」と彼は答えた。「顧客訪問へ例えば…

Back for Bach to Folk

岩川光さんが6/17(土)、所沢・松明堂音楽ホールに戻ってきた。リサイタルツアー2023「バッハ×ケーナ」の最後を締めくくるためだ。 そして、ケーナを通じてバッハに新しい生命を吹き込むと同時に、バッハによりケーナの新たな可能性を切り拓いてみせた。 プ…

怒りを込めて共に正しい方向へ拳を振り上げるために――2021年メキシコ・トラスカラ州地方選挙における不正な性別変更申告とその決着をめぐる日本語圏SNSの流言の検証

はじめに 流言の典型 公的文書に基づく事実確認 ふたたび流言の典型を見つめる――直接の原因と対策 おわりに よくある質問と回答(2023.3.12追記) はじめに 私は本稿において、twitter 日本語ユーザーの一部で2021年5月以降拡散されてきたトランスジェンダー…

スポーツと心身を過去の呪縛から未来に向けて解き放つために

私はスポーツから閉め出されていると思っていた。水泳以外は、学校体育でまともにできたためしがなく、実際に運動神経ゼロだと言われてきた。スポーツは排他的だと思い込んできた。そうではなかった。スポーツを自分たちだけのものにする人びとの思い込みを…

男性はもはや女性蔑視を募らせている場合ではない――フェミニズムとコミュニズムをカルトが攻撃する理由

私の同級生や交友関係の中にいる宗教2世たちの大部分に不思議なほど共通している点として、まず母親が入信しているという事実がある。入信先はエホバの証人、幸福の科学、実践倫理宏正会、創価学会、旧統一教会などさまざまだが、入信時期はおよそ出産後。こ…

「男性から半分降りる」ということ

私は1月5日、それを今年のテーマとすることに決めた。といっても半分女性になるわけではない。以前からこれに取り組んでいたけれど、有害な性質はまだまだ私の中にある。その性質をもっとなくしていくということだ。 取り組みの契機を私にもたらしたのはコロ…